今のパチンコは「庶民の娯楽」じゃない!?楽しいのに未経験者にオススメできない理由
僕にとって現在のパチンコ機が「楽しい!」のは疑いのない事実である。ことミドル機は、右の出玉とスピードに全振りした機種が完全に主役となり、あれも打ちたいこれも打ちたいで腰が座らぬうれしい悲鳴の連続である。ただし、出れば、勝てれば、資金があればという、そこそこハードルの高い条件付きではあるのだが。
楽しいを満たすには、初当り、ラッシュ突入、継続の3つのハードルを、いずれも運頼み=確率を上回ってクリアしなければならない。どれが欠けてもso-soの勝負にしかならないし、そして前ふたつを頑張ったところで、継続が伴わなければ夢心地の出玉には届かない。牙狼で10連を超えるのはラッシュ8回に1回、20連は50回に1回。初当りを基準にするならさらにその半分の遭遇率である。さてこの期待度は高いのか低いのか? って、いや無理ゲーならやってない。次はオレが引けるはずと思うから打つのである。隣客のドル箱を羨望しながら、ヤレると信じさせられてしまうのがパチンコ屋マジックである。
僕自身の履歴では、牙狼の初当りは100回どころではなく引いているものの、20連を超えたのはただの一度もなかったりする(ユニコーンやマクロスF4やバカボンを含めても皆無である)。そして収支を計算してみると……いやもう現実逃避で収支記録をヤメてしまって(笑)正確にはわからないのだが、20万か30万か、もしかしたらそれ以上負けているはずである。だからボーダー回る台を打てというのだ、なんて正論はここでは置いておく。しょうがないだろ、16個あったら何とかなりそうに思っちゃうんだから。
両機種ともに、ビッグデータで現在の時間粗利を調べてみると、1200円とかその程度のものである。大量データから平均値を算出すれば、確かに遊技もしくは時間消費型レジャーと言っても差し支えのない範疇に思える(それでも月に5日遊べば5万円溶けるわけだが)。しかし当然ながらパチンコは1時間に1200円ずつ消費していく遊びではない。運やツキで上下に出玉が振れる、その確率の暴れを楽しむ娯楽である。しかしそれが、ちょっと行き過ぎだよなと感じる場面も少なくはない。
秋口に牙狼とユニコーンと韋駄天を打って、1週間で19万のタコ負けを喰らった。で、その翌週、しつこく同じような機種を追って、今度は15万勝った。と言うか、この程度の上下は特に珍しくもなく、トータル収支を実戦回数で割れば1日あたり4~5千円の負けに収まるわけで、台のクオリティ通りの遊技代金を支払って「楽しい時間」を過ごしたに過ぎない。しかし19万負けの時点では、資金の余裕のある自分でもテメーフザケンナとキレ倒すしかないわけである。今回は運良く取り戻して事なきを得たのだが、マイナスがさらに倍なんて事態も、当たり前に可能性があった。しかもそんな不運に、「何も悪いことをしていない」のに、ただ引けないってだけで誰しも遭遇するリスクがあるのだ。
P機になって総量基準の射幸性は確かに低下した。しかし、天国か地獄かの振り幅はより顕著になっている。今のパチンコプレイヤーはよくこんなのに付き合ってられるよな、いや付き合ってられないから離脱者が増えているのではないか……。果たしてパチンコこれで良かったのだろうかと、考え込んでしまうこともしばしばである。楽しいのに! 面白いのに! である。
16個あれば何とかなりそう、隣のジジイの大連チャンに煽られてつい深追いした、そんな僕みたいなオメデタイパチンカーなんて希少種中の希少種である。サラリーマンの小遣いの平均額は月に38000円だそうだが、そんな「普通」の未経験者にパチンコをオススメできるかと言ったら……正直、考えてしまう。経験もリテラシーもあり、いろんな意味で余裕のある立場からすると楽しいのは間違いない。しかしそう思えるまでにお金が尽きる、パチンコを嫌いになってしまう人の方が遥かに多いだろう。
長らく庶民の娯楽を標榜してきたパチンコだが、今のパチンコを存分に楽しめる人はもはや庶民ではない。小ガネを持った、そしてそれを捨てても惜しくない特殊な価値観の一部マニアが支えるジャンルになりつつある。狭く深くに進みつつあるのは非常に危険な兆候に思える。……ってことぐらい雲の上レベルでは先刻承知のはずだが、でもそう持ってかざるを得ない目先の切実な事情。厳しいよなぁ。
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