大崎一万発が脳天を撃ち抜かれた!ゴルゴ13の魅力は「緩急」と「ミラン坊や」
ゴルゴ13に脳天を打ち抜かれている。『PFゴルゴ13 疾風ver.』である。クセのあるモチーフとスペックのため、当初はとあるやルパンなど同時期導入のメジャー機種に話題をさらわれた感はあったが、ここにきてじわじわと支持者を増やしている。僕もその一人、「ナメてましたごめんなさい」と、心の中でデューク東郷に謝ったクチである。
ゲーム性に関しては改めて説明するまでもないだろう。ラッシュに突入すると、2回セット3000発の出玉が60%で継続していく。しかも1.7分の1×2回転の即決タイプであるから、その出玉スピードとボリューム感は比類がない。
「韋駄天がマシンガンならゴルゴはバズーカだ」。発表前に噂されたセールス惹句が思い出される。あーあ、無理しちゃってと当時は失笑すら買ったものではあるが、いやいやほんまにバズーカである。韋駄天に洗脳された客の思い込みも見事にブチ壊す威力である。ここまで「イワせたい!」と感じた台は、天下一閃か、それとも天龍以来か。15個しか回らなかろうと、1時間しか打てなかろうと、役モノ機でもないのにとりあえず座ってみる自分に驚いている。
出玉感のみにヤラれてるのではない。ゴルゴが熱狂的な支持を得ている(※あくまで一部で、だが)最大の理由は、そのゲーム性をフレームする「緩急」にあると思う。
速い、一撃性、は、言わずもがなの「急」である。高揚感、爽快感、ドヤ感、出玉ボリューム……、ドーパミンとアドレナリンを絞り出し、パチンコに「狂わされる」元凶である。韋駄天を筆頭に「急」をウリにした台は多いし、今後も続々と発表されるだろう。
しかし、である。「急」ばかりがフィーチャーされると、脳は疲れる。どんなに激しい台でも慣れる。そして期待と欲望のハードルばかりが上がってしまう。せき立てる演出と間断なき連チャンの韋駄天を考えてみよう。前のめりで打つ、当たる、ラッシュに当選する。うおおぉぉ〜キター! ……しかし、そこから始まる、楽しいはずの連チャンが、苦しくなるのだ。93%である。連チャンしてもらわなきゃ困るのである。10連じゃとても足りない、20連、50連、いやそろそろ100連しなきゃおかしい頃合いだ。頭の中で皮算用がぐるぐる回る。整理される前に次の大当りが始まる。そして気付けばラストチャンスで源さんは黄色いままだ。勘弁してよ頼むよ……そして現実を見せつけられる。
夢の時間は焦りと不安に支配され、それこそ夢のように過ぎ去ってしまう。2箱出たけどさ、これどうすんの? って我に返る。そして納得感よりやりきれなさを抱えて、詮なくボンヤリ持ち玉を打ち込む我が身……。
ここだ、ここなんですよ僕が韋駄天に今ひとつハメられなかった理由は。何だろうと前向きに、激流を乗りこなせる胆力とヒキがあればそりゃ楽しいゲーム性である。しかし人間そうは強くない。ただ翻弄されるばかりで終わってしまうと、ド連チャンしない限りは納得感もクソもない。打ってるのはこっちなんだからさ、連チャンにもう少し関与させてくれないかな、そんな思いばかりが募っていたのだ。
そこでのゴルゴである。確かに速い。単純にスピードだけ比べても韋駄天以上かもしれない。が、ゴルゴには「緩」がある。「間」がある。終わる心配なく3000発を掻き出す最中の間。ワンセットが終わって、次回チャレンジへの演出を選ぶ間。ジリジリと当選期待値の数字が上がっていく間。ここで打ち手は、心をリセットし、闘志に再点火し、念を込める。魂の祈りを捧げる。しかし同時に「60%だし、どうせ続かないよな」と、言い訳を考える。自ら心の救済をする。これで帰ろうと家族の顔を思い出す。そして48%が表示され、ハイ終わりやっぱりね……を吹き飛ばすビッグスナイプの破壊力よ! あきらめ半分だからサプライズもデカい。たった1回継続が上乗せされただけで、ありがとう!って心から感謝する。不運にも終わったとて、60%だからと納得できる。あらゆる数字、パラメーターが、絶妙に案分されている。初打ち時、「出玉少なくてもいいからライトミドルにして、連チャン率も上げたら良かったのに」と思ったものだが、いや違ったね。60%だから、319だから、3000発だからいいのである。このバランスでなければここまで脳が焼かれることはなかっただろう。
カレーには福神漬けがマストである。浮気男は寿司ばかりじゃ飽きるからお茶漬けも食べたいと言い訳する。前のめらすだけじゃ続かない、「緩」と「間」は、人間らしく生きるために、そしてパチンコにも不可欠の要素なのだと思う。
そしてもうひとつ、忘れちゃならないのが「ミラン坊や」の存在だ。本機の遊タイムはラッシュ確定となる強仕様のため、ある程度ハマってしまうと通常大当りが邪魔になる。リーチ演出の際、通常図柄の場合は、むしろ当たってくれるなと裏返った気持ちで見ていなければならないのが「普通の台」なわけだが、本機の場合は数字が揃えば問答無用でラッシュ突入、3R単発の通常カス当りの際は必ず坊やが登場する「依頼承諾ボーナス」となる。そして発展経路は通常リーチハズレ後である。
すなわち、リーチは如何なるタイミングでもアツい。正しく当たってくれと祈りながら見ていられる。そしてハズレ後、坊や出てくんなと画面を凝視するその一瞬(ここでも「間」である)の緊迫感たるや。革命的と言っていい演出の使い方である。悪役でも美女でもなく、坊や、いやクソガキにヘイトを丸投げしたところが計算高いというか卑怯というか。で、台に一撃を食らわせたところで……レバーがブルってラッシュ突入なんてドラマがちょいちょいあったりするのがゴルゴなのだ。
ゴルゴは、その高いギャンブル性をあえて隠し、打ち手のハードルを上げすぎないよう抑制に抑制を重ねて組まれたゲーム性であると思う。基本は「無理ゲー」である。しかしそれゆえに、思いもよらない嬉しい誤算をしょっちゅう体験できる。何だコレ、意外に、と、意図せぬままに丸め込まれてしまう。演出にしても、作り込みドヤァって台ではないが、違和感を軸にミラン坊やへとつなげていくフローは、オッサンでも打ち込むほどに叩きどころが見えてくる(いい意味での)単純さがある。他にもキャラの立った登場人物や大当り中のオリジナルBGM、こまごま織り込まれたB級感満点の演出パーツ等、褒めたいところは山ほどあるのだが、それらはぜひ実際にビッグスナイプを成し遂げて体感してもらいたい。久しぶりに絶賛したい打感の台が出て、パチンコ屋に運ぶ足も軽やかな大崎である。ただし、勝てない。それだけが残念である。
(前回褒めてたおそ松さんは? いや〜、設置店少ないですから。運用状況悪いですから……。ゴメンね)
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