21世紀会、現行の依存問題対策全般に対する有識者会議の評価・提言を公表
パチンコ・パチスロ産業21世紀会は9月8日、パチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議(以下、有識者会議)がまとめた「答申 遊技業界における現行の依存問題対策全般についての評価及び提言」を業界14団体に発出するとともに、ホームページ「安心娯楽宣言」で公表した。これを受けて、全日遊連は同答申を各都府県方面遊協に送付した。
有識者会議は21世紀会により発足した第三者機関で、法律家、学者、医師らで構成。業界の依存問題対策に対して客観的立場から評価・提言をする組織として2019年1月から活動をスタートさせた。具体的には、第1回会合で、21世紀会から業界の現行の依存問題対策全般を評価するよう諮問を受け、2019年4月に中間答申を21世紀会に提出していた。
一方、21世紀会では政府が2019年4月に閣議決定したギャンブル等依存症対策基本計画に基づき、毎年度、業界の依存問題対策の実施状況報告書を作成・公表し、有識者会議の評価・提言を受けることにしている。その報告書の2019年度版が今年6月にまとまり、有識者会議に提出されたことから、有識者会議が同報告書の内容に対する評価・提言をまとめたもので、同会議では今回の評価・提言を昨年4月の中間答申の最終答申と位置付けている。
評価・提言しているのは、
(1)「リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の強化及び機能拡充のための支援」及び「RSNの相談データの分析等による相談者の実態把握」
(2)「安心パチンコ・パチスロアドバイザー制度の充実」及び「都道府県選定『依存症専門医療機関』の広報協力」
(3)依存問題を啓発する広告・宣伝を推進するための全国的な指針の策定
(4)18歳未満立入禁止規定の徹底
(5)普及啓発の促進
(6)自己申告・家族申告プログラムの普及と改善
(7)営業所の銀行ATM及びデビットカードシステムの撤去等
(8)依存問題の予防と解決に取り組む民間団体等に対する経済的支援の実施などの全13項目。
総じて業界の取り組みは評価されており、たとえばRSNに関する取り組みに対しては、「ギャンブル等依存症対策基本法などの必要性が国会で議論されるはるか以前から、RSNのような組織を、業界が主体的に設立支援し、その後の運営もサポートしていることは高く評価すべき取り組みである」としている。
本人同意のない家族申告に基づく入店制限プログラムに関しても、診断書等の提出を要件とし、診断書等の提出に際しては本人の承諾書が必要であること、プログラム開始時には本人に通知し、本人が不服とする場合、申請ホールに意見書を提出できることなどを評して、「人権に配慮した基本フローになっている」としている。
しかし、随所に提言も盛り込まれており、たとえば本人同意のない家族申告に基づく入店制限プログラムについて、意見書は記述式だとハードルが高いようだと思われるとし、運用しながら改善を検討していくよう求めている。メール登録した安心パチンコ・パチスロアドバイザーに活動に役立つ情報や依存問題対応事例をメールマガジンで配信する登録アドバイザー制度については、「本来ならば有益な情報はすべてのアドバイザーにいきわたることが望ましい」とし、アドバイザー全体の質的向上につながるさらなる取り組みを求めている。
特に複数の事項で指摘しているのが広報体制の強化で、RSNの活動内容や相談者の実態、業界の依存問題に対する考え方や取り組んでいる内容、銀行ATMとデビットカードシステムののめり込み防止対策などについては対外的な情報発信の必要性を説いている。
「まとめ」においては、2019年度の業界を「さらなる(依存問題)対策に着実に取り組んできた1年だったと思われる」と総括。「それだけ業界全体が一つにまとまって依存問題対策に取り組んでいるということではないか」としている。新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、政府が発令した緊急事態宣言下における各都道府県知事の休業要請に一部のパチンコ店が応じず、業界全体が批判的な論調にさらされたときも、よく見ると「業界では依存問題対策に取り組んでいるのだが」という断わりを入れる報道が見受けられたとし、「取組みが少しずつではあるが、着実に世間に伝わっている証左であろう」と述べている。
なお、現在の有識者会議のメンバーは總山哲氏(座長、弁護士)、稲冨仁氏(博士(医学)、糸満晴明病院理事長・院長)、柏木勇一氏(産業カウンセラー)、坂元章氏(博士(社会学)、お茶の水女子大学基幹研究院教授)、長崎俊樹氏(弁護士)の5人。
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