【インタビュー】情報の公平な公開が業界には必要不可欠株式会社エムシック代表取締役社長 三輪 勝治

【インタビュー】情報の公平な公開が業界には必要不可欠株式会社エムシック代表取締役社長 三輪 勝治 eyecatch-image

遊技客動向を分析するシステム『AI‐CIS』で知られるエムシック。その根底にあるのは遊技情報をつまびらかにすることが、業界の今後に必要不可欠という三輪社長が抱いてきた長年の信念だ。

定量制の打ち止めでホールコンの機能に興味

きっかけは京楽の『UFO10号』。盤面下部の発射台に乗った玉を、ボタンを押すことで文字通り発射できるという斬新なゲーム性にハマった。以来、普通機メインでパチンコにのめり込む。

「当時通っていた店の多くが、800個箱一箱で打ち止めの定量制でした。出玉800個ピッタリで店員が止めにくるところと、出玉が800個近くになってくると、店員がチラチラこちらの様子を窺う店に分かれていました」。

この店舗による打ち止め対応の違いを生む要因が、その後の三輪社長の人生を大きく左右することになる。

大学卒業後は、地元岐阜県で家業を一旦継ぐも、まもなく廃業。その年の秋に、たまたま目にした新聞の求人に応募することを決めた。募集内容は、情報機器の販売という名目で、今や、ホール周辺機器の大手メーカーとなっている会社だ。そして、その時の会社説明会で、ホールコンピュータというものが存在することを初めて知ったという。

「ホールコンの機能説明を受けて、パチンコ台の打ち止め出玉数が、なんで外から見てピッタリ分かる店があるのだろうか、というこれまで不思議に感じていた疑問が解けました」と腹落ちし、ここしかないと思ったという。

周辺機器メーカー入社
新事業立上げに尽力

入社後は営業企画部門を担当した。

「当時は、まだ台間サンドが無いところもありましたし、台ごとに売上を管理するという発想もそれほど普及していませんでした。それこそどんぶり勘定で営業を行っていた店舗も少なくありませんでしたね」と振り返る。

最初の転機は1987年、24歳の時。札幌営業所の所長として抜擢された。

「おおよそ3年半北海道にいましたが、揉まれに揉まれ、良くも悪くも色々な勉強をさせて頂きました(笑)」。

本社に戻ってからは、ネットワーク開発に従事。今や業界内で幅広く知られているホール向けの会員制情報提供サービスの立ち上げにも尽力した。当初賛否両論あり、ホールが自店の営業データを他社に提供することについて、メーカーからは周辺機器メーカーが稼働データを公開することについて反対意見も挙がっていたという。

「機械の評価にも繋がりますので、クレームも結構ありました。また肝心のデータ送信も、当時は今のようにネット環境が発達していませんから、モデムに繋いでデータを送ってもらっていました。そのため、なかなか上手くいかないケースもありました。ただ、使って頂いた方の評価は高かったです」と、試行錯誤しながらも手応えは感じていたという。その後も遊技機の大当たりデータを公開するツールの開発を推進。ついには、間口をファンにまで拡大する構想を製品化した。これも当初は、業界各所から賛否が挙がった。

「ファンに大当たり情報を公開するなんて、とんでもない話だという憤りの声もありました。こちらは少し、時代が早すぎたかもしれません」と顧みる。

業界初の顧客動向分析『CIS』が始動

その後、13年ほど務めた大手周辺機器メーカーを1998年5月に退社し、『One To One顧客管理システム』で知られる遊技客管理・分析システムの開発、販売会社設立に参加。同年10月には事業がスタートした。

そこでは、会員一人一人にフォーカスしたデータを集積。とりわけ、一人あたりのアウトの算出は、遊技機寿命を図るうえで重宝された。

「当時は、一人あたりのアウトが10,000発を超える機械が数多くありました。トップクラスだった大工の源さんでは約18,000発もありました。また印象深かったのは、大一の初代天才バカボンです。15,000発ほどと、他機種と比べて飛び抜けて高く、後の高評価を決定づけるデータが導入当初から現れていました」。

そして三輪社長にとって、最後のターニングポイントとなったのは2016年だ。同年6月に同社を退社し、8月にはその会社が自己破産。それに伴い、宙に浮いたCISデータを継承する受け皿として、同年10月に株式会社エムシックを立ち上げる。社名には、M(M三輪が、M皆と一緒に)SIC(CISを逆から読んで、前職時代のCISをひっくり返すような、新しい視点での提案が出来る会社を一からスタートする)という思いを込めた。

事業内容は、会員データの分析に注力したスタイルを継承。遊技客の嗜好性や回遊性といった、より現場に沿った営業戦略の立案をデータ面から支援する役割を果たしている。

「同じ会員の遊技データを継続的に比較することで、より細かい回遊データを分析でき、最適な遊技機の選択や運用などの判断が下しやすくなります。例えば、初代牙狼の遊技客が今の牙狼にどれだけ戻ってきているかなど、回帰状況も計測でき、逆にどういう人がいなくなったかもわかります」という。

今後について三輪社長は、「私個人は、ファンが“あればいいな”というサービスを産み出すことに力を注いできました。その一つが公平な情報発信です。これからの業界にとっても必要な事なのではないでしょうか」という思いを抱いている。

会員が自分の遊技データをネットを通じで見られるようにするサービス『マイ遊技帳』。これまで以上に、遊技客の利便性を高めた情報公開ツールとなっている。

株式会社エムシック
東京都豊島区東池袋1-36-7 アルテール池袋519
設立/2016年10月

情報処理システムソフトの開発及び販売、経営コンサルティング及びITコンサルティング、コンピューターシステムに関するコンサルティングなどを幅広く展開している。主力製品は、顧客動向分析システム『AI-CIS』(Artificial Intelligence Customer Integrated System)。

Copyright © 2021グリーンべるとAll Rights Reserved.

(提供:月刊グリーンべると)

この記事を共有

いいね!する

0

この記事にコメントする

以下の内容を含むコメントは削除対象とさせていただきます。

・公序良俗に反する事項、個人情報、誹謗中傷、スパム行為

・禁止語句を回避する旨の記述、伏字を含む文字列

関連記事

ランキング

  • 24時間

  • 週間

  • 月間

TOPに戻る